涙があふれるその前に、君と空をゆびさして。


「じゃあまた後でな」



圭都が二人に頭を下げて帰って行った。


そして叔父さんがまた「デートか?」って言って来たのでシカトした。



「冷たいのぉ、お前」


「うるさいけん」



叔父さんがノドを鳴らすようにくくくと笑ってて呆れた。


……行きたくない。


レイと真理ちゃんの仲睦まじい姿なんて本気で見たくない。


傷つきに行くようなもんやんか。


なにが楽しくて好きな人とその彼女の絡みを見に行かなくちゃいかんとよ。


深いため息を吐いて叔父さんが運転する車から流れる景色を見た。



「美紀さん、きついのにごめんね?」


「全然キツくないよ〜っ!」



よいしょとソファに座り込んだ美紀さんに本当に申し訳ないと思った。


私の後ろで「俺は?俺には言葉ないん?」って言ってる叔父さんは完全ムシ。


2階に上がってタンスの中を見た。


……なに着て行けばいいんやろ。


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