木曜日の貴公子と幸せなウソ
鍵をかけると、先輩は私の腕を引いたまま、リビングへ連れて行く。
モノトーンで統一されたシンプルなリビング。
しかもかなり綺麗。
「あの、どういう事ですか?」
「だから、萌に意地悪したくなっただけ。オレを振った仕返しにウソついた。オレは結婚して子どももいて幸せなんだっていうアピール」
「……女の方がやるのを小説とかマンガで見た事ありますけど、さすがに男の人のは……」
「ハハハ。すぐバレるウソだと思ったし、もう萌にはバレていて、その上でのその態度なんだと思ってた」
ソファに私を座らせると、先輩はリビングのエアコンをつけた。
着ていたコートを脱ぎ、しわにならないようにそばに置く。
「ココアでいいだろ?体、辛くないか?」
「……気分は最悪です」
「吐きそう?」
キッチンに行った先輩は私の言葉でリビングに戻ってくる。