木曜日の貴公子と幸せなウソ
「……少しだけいい?」
「え?」
その言葉に反応して、掛布団から顔を出すと、邦章がそっとキスをした。
「……風邪うつるよ?」
「大丈夫。だから、あと少しだけ……」
「ん……」
今度はさっきよりも長いキス。
その心地よさに私はゆっくりと目を閉じた。
再会して最初にキスをした時は、驚きと怒りでいっぱいだった。
既婚者のくせにって、ずっと思っていた。
それが、全くの誤解だったことに、今思えば笑えてくる。
邦章の言う通り、どれだけの発想力だったんだろう?
……でも、邦章の意地悪から、始まったんだから仕方ないよね?
「このまま少し寝たほうがいい。起きたらココアいれるよ」
「……うん」
目が覚めても、自分の部屋じゃありませんように……。