アルマクと幻夜の月

「……おまえ」


多分に疑わしげな顔をしながら、アスラは「本物なのか?」と尋ねた。


「本当に、ランプの魔人なのか? だったら、納得のいく証拠を見せろよ」


「証拠? なにをすればいい」


「なにって……」


「命じろ、我が主。

今は事情があってできることに限りがあるが、簡単なことなら聞いてやる」


命令しろ、と言うわりには偉そうなイフリートを戸惑ったように見つめながら、アスラは言う。


「えっと、……じゃあ、水差しに戻ってみせろ」


「よかろう」


答えると、イフリートは水差しの注ぎ口に触れた。
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