専務が私を追ってくる!

「あの、せめて何か着てから来てくれませんか」

「別にいいじゃん。もっとヤバいとこ見せ合った仲なんだし」

そういうことをサラッと言わないでほしい。

少し前までは私より修の方が意識して動揺していたくせに、猫が来た途端、開き直ってしまった。

今ではちょいちょいネタに使ってくる。

心臓に悪い。

「そういう問題じゃないです」

ただでさえ猫たちに我が家の秩序が乱されているのに、人間のあなたまで乱さないで。

「ミキとミカなんてもっと恥ずかしいとこ見られてるんだぞ。なー」

「ぴゃー」

猫たちと修が私の家にやって来てから、1週間。

彼らに振り回されるドタバタな朝が、今日もやってきた。

早起きして猫の世話をして、ついでに修の世話もする。

猫の体は先週よりひと回り大きくなったし、ミルクを飲む量も日々増えている。

顔つきも猫らしくなってきた。

成長を感じて、嬉しい。

修の言葉に甘え、猫を任せてキッチンへ。

朝食のみそ汁を温めつつ、手早く作った卵焼きをまな板の上でカットして、冷蔵庫から昨日切っておいたキャベツを出し、弁当箱へ詰める。

市販のタレで焼いた豚ロース肉を千切りキャベツの上に乗せて、ほうれん草とベーコンのソテーとのバランスを整え、さっきカットした卵焼きを詰めようとまな板を見ると……。

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