専務が私を追ってくる!
十数秒遅れで運転席に座り、ミラーや座席の位置を調節する。
真新しいプリウスは、私の軽自動車とは勝手が全く違って、焦る。
何これどこをどうすればエンジンがかかるのよわけわかんない。
修はまるで心を読んだかのように指示を出す。
「鍵はそこ。丸いボダン押せばエンジンがかかる」
「……ありがとうございます」
ボタンを押したが音がしないので、本当にこれでエンジンがかかったかがわからない。
内装が光ったのできっとこれで走る……のだろう。
最近の車は難しい。
こんなにキレイなのに傷つけてしまったらどうしよう。
「これ、ピカピカの新車だから、ぶつけたりしないでね」
意地悪にプレッシャーかけてくる彼を、危うく睨んでしまいそうになった。
「私、最近軽を買いましたが、ほぼペーパードライバーなので……最前は尽くしますが、お約束はできません」
「マジ?」
「マジです」
修は数秒間苦笑いを浮かべた後、
「しばらく走らせてみて、ヤバそうだったら代わるよ」
と言ってシートベルトを締めた。
社用車ではあるが、ぶつけると痛い。
「とりあえずバス通りでS市に向かって」
「バス通り……? 私、近くのコンビニとスーパーまでの道しかわからないんです」
「俺、完全に人選をミスったかな」
「今ならどなたかと代われますよ」
「いや、いい。俺がナビするから、発車しよう」