専務が私を追ってくる!
「なんで? 郡山さん、絶対に磨けば光るタイプだって。光れば彼氏だってすぐにできるだろうしさ」
わかってます。
今まで散々磨いて磨いて、輝こうとしてきました。
彼氏だって、苦労せずに作ってきました。
性格の悪さ故、長続きはしませんでしたがね。
「欲しくないんです、彼氏なんて」
いかんせん現在私は恋愛禁止だ。
「え、そうなの? 郡山さん、たしか今28だよね。アラサーって呼ばれるようになって、結婚を焦りだすお年頃なんじゃないの?」
少し前まではそうだったけれど、今は違う。
結婚して誰かを支えられるような女ではないと理解している。
このお節介野郎……さっきから何なのよ。
私のことなんてほっといて。
「女性全員に当てはまるわけではありません。少なくとも、私にはまだ結婚なんて早いと思っていますし、今は新しい生活を楽しみたいので、男性には興味もありません。ご自身はどうなんですか。専務こそ、30歳ですよね」
言い終わって、ハッとした。
しまった、少しムキになってしまった。
「すみません。失礼を……」
慌てて謝ると、ハハッと笑いが返ってくる。
「いや、いいんだ。そうだよな。俺こそ30だもんな」