専務が私を追ってくる!
何時間でも待つって……本気で言ってんの?
「あの、専務……」
無理です。無理無理。
今日は、無理。
せっかくの解禁日なんです。
今から家に帰って着替え直してメイクも直して……ってやっているうちに夕方になってしまいます。
『おねがい。郡山さんしか頼れる人がいないんだよ』
ものすごく、可愛い声だった。
甘えるような、それでいて甘やかすような、あの夜にベッドで聞いたのと同じトーンの声だった。
彼を好いている私が、まんまとやられないわけがない。
「わかりました。一時間ほどかかりますが、よろしいですか?」
気合いで何とかしてやろうじゃないの。
『もちろん。着いたら連絡して』
修が嬉しそうに声を弾ませる。
それを聞いた私も、ちょっと嬉しくなってしまった。
電話を切るやいなや、北側エスカレーターへ飛び乗った。
そして1階にあるファストファッションの店で、普段通勤で着ているようなオーソドックスなトップスと春物のチノパンを購入。
同じフロアのドラッグストアでシートタイプのメイク落としとヘアゴムも購入。
あれ、まだ何かが足りない。
そうだ、メガネだ!
私は上のフロアにある雑貨屋へ駆け上がり、ダテメガネを購入。
そして買ったものを持って、多目的トイレへと駆け込んだ。