専務が私を追ってくる!
私はそっと下着屋を出て、修がいる方向とは逆に歩き出す。
このまま北側エスカレーターから下りて、ウォークシティを脱出だ。
早足で歩いていると、バッグの中で携帯が振動し始めた。
こんな時に、誰よ?
ササッと取り出してディスプレイを確認すると……
『着信 雨宮専務』
嘘でしょー!
思わずチラッと後方を確認した。
修は私に背を向けた状態で、電話を耳に当てている。
私がここにいることはわかっていないようだ。
こんなところで電話に出て声が聞こえたりしたらバレてしまうかもしれない。
私はとっさにすぐそばにある店舗に入り、再び身を隠した。
「もしもし、郡山です」
『あ、お疲れ。雨宮ですけど。お休みのところごめんね』
ほんとだよ! 何なのよ!
「いいえ。どうされました?」
『ちょっと付き合ってほしいんだけど、今からウォークシティまで出て来れない?』
もう来てますけど。
「今日これからですか?」
ちょっと難しいかなぁというようなイントネーションで言っておく。
だって、今の私じゃ無理だもん。
絶対に断らなくちゃ。
『うん。あ、予定があるなら、それが終わってからで構わないよ。何時間でも待つから』