キスから始まる方程式


「な、なんかごめんね~。お母さんが変なことばっか言って」



バタン



部屋のドアをいつもよりしっかりと閉め、背後にいるはずの桐生君に話しかける。


しかし、すぐ返ってくるであろう桐生君からの返事がなかなか返って来ない。



あれ? 返事がない……。どうしたのかな……?



桐生君の反応がないことを怪訝に思った私は、ゆっくりと背後を振り返ろうとした。



「ねぇ、桐生く……っ!?」



フワッ



爽やかなシトラスの香りと共に、背後から私を包みこむ温かい感触。



……え?



「……っ、桐生君!?」



何が起こったのかワケがわからなくて、その場で固まる私。



「七瀬が悪い……」



戸惑う私の耳元に響く桐生君の声。



えっ? えぇっ? 私、何か変なことした!?



「なんで? 私何もっ……」

「そんな可愛い姿で出迎えられたら、どうしたって我慢できない」

「っ!」



ドキンッ



胸の鼓動が一気に跳ね上がる。


だけど、どうしても桐生君にもう一度“可愛い”って言ってほしくて……。
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