キスから始まる方程式
嘘……嘘だよね。
だって昨日のやり取りなんて、売り言葉に買い言葉でもちろん本気じゃなかったし。
付き合いが長い翔だもん。そんなの私の本心じゃないって、きっとわかってるはず……。
今までだって誰とも付き合わなかったし、いくら学校一の美少女だからって翔がOKするはずないよ……。
麻優の言葉を否定するように、一生懸命自分に都合がいい言い訳ばかり並べたてる。
それでも波のように次々と押し寄せる不安を消し去ることができなくて、踏み出す足が何度も止まりかけた。
「ハァッ……ハァッ……」
息を切らしながらF組の教室の前に差し掛かると、ちょうど入り口から翔が姿を現した。
「かけ……」
!!!
翔に声を掛けようと駆け寄る私。
だがその瞬間、信じられない光景が私の目に飛び込んできた。