キスから始まる方程式
そういえば、翔はどこの席になったんだろう?
まさか私の隣とかじゃ……ないよね……?
いやいや、いくらなんでも……、と心の中で何度も呟きながらキョロキョロと翔の姿を探す。
あっ! 翔ってばもしかして……!?
私の視線が教卓の前でピタリととまる。
なんともかわいそうなことに、翔はみんなが最も嫌がる席、すなわちクラスの中央列一番先頭……教卓の真ん前という最悪の席だった。
ぷっ! か、翔ってばウケる! 運が無さ過ぎだよ~!
そういえば昔から翔も、私同様くじ運が無かったことを思い出した。
子どもの頃よく一緒に行った商店街の福引も、残念賞以外が当たったところを見たためしがなかった気がする。
そんな昔のことを思い出し、心の中でクスクスと笑いながら翔が友達とじゃれ合っている姿を見つめる私。
でもまぁ、とりあえず隣の席じゃなくてよかった。
やっぱり気まずいし、またこの前みたいなおかしなことになりかねないもんね……。
ホッと胸を撫で下ろし安堵の溜め息を漏らす。
すると隣から、ガタンっと派手に机を置く音が聞こえてきた。
おっと! 隣決まったんだ! 誰になったのかな?
「あの、よ、よろしくねっ」
慌てて笑顔を取り繕い、挨拶の言葉と共に隣の席へと顔を向ける。
「よろしく!」
「へっ!?」
すると私の目の前に立っていたのは、まさかまさかの桐生君だった。