キスから始まる方程式


尚もひたすら全身で拒否し続ける私。


しかし私の態度にややムッとしたのか、翔が立ち上がり私を見つめながら強めの口調で言い返してきた。



「歩けるわけないだろ!? さっきだってよろけて倒れそうになってたし」

「ぐっ……。でもでも、これ以上翔に迷惑かけられないし、それにおんぶしてもらってるとこ南條さんに見られたりしたら……」

「っ! なんでそこで南條が出てくるんだよっ」



南條さんの名前を出した途端、より一層翔の口調が怒気を含んだように荒くなった。



なんでそんなに怒るのよ……。 大事な彼女の名前出されたのがそんなに気に障ったの?



なんだかモヤモヤとしたものが胸に広がって、私の意地っ張りな性格がムクムクと顔を出す。



「とにかく! 私のことはもういいからっ」

「よくない」

「翔がいなくたって、私ひとりでも大丈夫っ」

「ダメだ。こんな時ぐらい、いい加減意地張るのはよせよ」

「っ! い、意地なんか張ってないもん!」



翔の言葉が更に私の意地っ張りに追い打ちをかけ、自分ではもうどうすることもできない。



「だいたい、私から離れて行ったのは翔のほうでしょ!?」

「……っ」

「だったら今までみたいに無視すればいいじゃんっ」



……ああ、だめだ。



「なんで今更優しくするの!?」



こんなことが言いたいわけじゃないのに……。


もう……止められない……。



「お願いだから、もうこれ以上私にかまわないでよっ!!」

「っ! 七瀬のことほっとけないんだよっ!」

「え……?」
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