新選組恋愛奇譚
これで大丈夫だろうか……

凄く心配になる。

さらしもきちんとまいたし、髪だってキッチリ結んだ。

けれどすごく不安だ。

「沖田さん…」

躊躇いがちに沖田さんの名を呼ぶ。

「遅い。またせすぎ。」

ブツブツと文句をいいながら沖田さんがはいってくる。

「んー、ま、大丈夫なんじゃない?てか刀は?」

「持ってないです。」

「それでどうやって生きてきたわけ?」

沖田さんが綺麗な顔を歪める。

もったいない……!!

「私達の世界では刀を持つことが禁止されてるんですよ、沖田さん。あ、持ってはいるっちゃいるんですけど、こっちの世界には持ってこれませんでした。」

頭をさげる。

「ふーん、そーなの。てか刀が犯罪の世界とか生きてる意味あんの?まあいいや。刀は僕の持ってるうちから1本貸してあげる。これでいい?」

刀が宙を舞う。

慌ててキャッチする。

「あの……サクラの花がついてるやつはダメですか…?」

私はなぜかあの刀に引き寄せてられていた。

「あれは絶対にダメ。てかキミ、刀貸してもらって嫌だーとか何様?」

沖田さん、ホント怖いです。

「ごめんなさい…」

沖田さんが鼻を鳴らす。

「二回目はないから。じゃ、行くよ?」

沖田さんがスタスタと歩き出す。

「沖田さん、少し歩くの早いです…」

「キミの歩幅が小さいからでしょ。女だって言いふらしてるようなもんだよ。」

振り返りもせず先にどんどん言ってしまう。

私は一生懸命足を動かした。
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