吸血鬼
アパートは散乱していて
ところどころに小さい歯形があった
吸血鬼の子供は、小さいうちには人の血をよく吸うらしい
血がないと暴れて大変だと言っていた
その子を見てみると弱っていた
だから私は持っていた予備の血の瓶を開けてその子の口に入れた
二人は驚いて見ていたが
子供は見る見る元気になり
起き上がった
それを見て吸血鬼の方の男が
「お前っ!
血を与えたのか?」
そう言ってきた
多分、彼も地が欲しいのだろうと思いもう一つの瓶を渡した
取るかどうか迷ってから
素早く受け取り蓋を開けた
戸惑いながら口を付けて
飲んだ
「やはり、
血を吸っていなかったのか……
お前、名は何と言う?」
そう聞くと
「俺はビャクと言う
お前は?」
そう聞かれて
「スミレ・リアード・クレリア
今の吸血鬼界の王をやっている
ビャクとは行方不明のビャクか………
辻褄があったな」
そう、今から100年前に、ビャクと言う腕の立つ吸血鬼がいた
羽も普通のやつよりでかく、他の吸血鬼にも優しかった
とても有名で、お父様もかっていた
けど、ある日突然いなくなったんだ
どこを探してもいなくて、死んだと言われていた
ビャクが今目の前にいる
するとビャクが
「この男は関係がないんだ
俺はなんでもする!
その子とこの人は助けてくれ!
お願いだ!」
そう頭を下げてきた
私は男に向き直り聞いた
「あなたは………
この二人が人間ではないことを知っていたのですか?」
すると、
小さく頷きながら
「あぁ、
ずっと前にアパートの前で倒れていたのを助けたんだ
その時に、人間ではないと言って血を吸われそうになったが、そのまま倒れてしまって…
一応傷が治るまでここにいさせたら
住むことになって……」
そう自信なさげに言う彼を見て問いた
「この子供を、育ててかつ、子供が吸血鬼だと言わない自信は?」
すると
「この命に変えても言わない自信はある」
と、言ったんだ
だから
「では、指示を出す
ビャク、お前は私と一緒に来い
人間、この子供を、ちゃんと育てろ
支援は頼んでおく、
半鬼と言う人間と吸血鬼のあいだのものが
食事を持ってきてくれるだろう
分からないことがあったらそいつに聞け
それから、その子供は大きくなったら迎に来る」
そう言いビャクを連れて外に出た