星降る夜に。
お盆が明けて、週の半分が過ぎた。
仕事の忙しさは変わらず、デスクワークの時間なんてほとんどない。力仕事ばかりだ。
少し太陽が傾いてきた頃、岡村さんに呼ばれた。
「莉子ちゃん、お客さん。背の高いイケメン。これ貰っちゃった」
岡村さんの手には有名和菓子店の紙袋。
「ゆっくり話してきていいわよ。戻ったらお茶にしよう」
お客さんて…。
大輔さんしか思いつかない。
ご機嫌な岡村さんに早く行けと促されて、作業用の軍手も外さぬまま外に出されてしまった。裏口から出て正面に向かうと、スーツ姿の背中を見つける。
大輔さんとは…違う。
背丈は似ているけれど、どちらかというと大輔さんは縦長、この人はがっしりした体型。
「…あの、宮坂ですけど」
「おっ、やっと来た。あのオバちゃん面白いね。最初、莉子ちゃんがいるか聞いたらめちゃくちゃ怪しんでたけど、お菓子渡したらコロッと変わっちゃって」