星降る夜に。
「それなら莉子が幸せになって実証してくれないと。これは莉子のものだし、莉子の幸せに役立つように」



優しいその声は本当に私の幸せを思ってくれているのだと分かる。


だけど、幸せって何?

人それぞれの価値観はもちろん違う。結婚や出産、夢を追いかけたり、それを叶えたり、好きなことを楽しんだり…。

私はみんなが幸せでいてくれたらいいと思っていた。もちろん今もそう思う。

でも、私の幸せはどこにあるの?




「…私ね、自分の幸せって考えてなかった。工場や家族を守ることばっかりで。考えてみると、大輔さんと過ごした日々が本当の意味で幸せだった」



「俺はこの10年、仕事に生きてきた。今は軌道に乗ることが出来たけど、やっぱり商売って一筋縄じゃいかないよな。横村は結婚して子どもも出来て、俺は好きなように生きてきて。莉子に出会って人を好きになることを思い出した。幸せだったのは俺のほうだよ」



私たちはお互いが必然的な存在だったのかな。この人に惹かれたことに理由なんてない。まるで引き寄せられるように彼を好きになった。それは大輔さんもきっとそうだと思う。




「莉子、何飲む?」


空になりそうな私のグラスを指さす。大輔さんはバーテンにビールを注文していた。
私はすでに3杯飲んでいる。お酒に強くないから、頭がふわふわしてくる。
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