星降る夜に。
「由衣、どう?ママに似合う?」


「似合う!」



姉が首元に当ててみると、しっくりとなじんでいる。


「お姉ちゃん、それにする?」


「ええ」


「ありがとうございます。ちょっとお待ちくださいね」



そう言うと大輔さんはその場を離れた。

モノトーンでコーディネートされたスーツが似合っていて、横顔にすら見とれてしまう。



「莉子、かっこいい人ね。アレはビーチで会ったら惚れるわ。ワイルド系だし、誠くんとは正反対じゃない?私だったら迷うことなく大輔さんだけどなぁ」


「別に迷ってません」



迷ってなんかない。私には迷ったり選んだりする権利も余地もない。
誠さんと結婚するのだから。


大輔さんは電卓やトレーを持って戻ってきた。



「お待たせしました。それではこちらが15.000円になります。お支払いはどうされますか?」



姉はニコッとして私を指さした。

大輔さんと目が合ったけれど、彼は営業中に見せるのであろう笑顔になるだけ。



「妹が私にプレゼントしてくれるんです」


「優しい妹さんですね」


私はトレーにクレジットカードを置いた。
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