ためらうよりも、早く。
そんなセンチメンタルな気分はすぐに追い払い、ひとりで必死な自分を嘲笑したくなる。
「じゃあ、俺が新規で書き込もうか?」
そんな気持ちを汲もうとはしない、デリカシーとは無縁の男がさらに攻勢を掛けてくる。
キッと眉根を寄せて睨んだものの、1ミリも怯まず満足そうに見ているのがまた苛立つ。
「ああ、もうっ!まどろっこしいから我慢するのも止めるわ。阿呆らしいし。
もう一度聞くわ。……祐史、アンタの目的は何なの?——会う義務なんてないでしょ?」
ビジネス時の顔つきと声音を出すと、それまで穏やかだった彼の表情は一変した。
手にしていたグラスを置き、ふぅと小さく息を吐きながら優雅に足を組むと、こちらに視線を寄越した。
「なるほどね。……言いたいことがあればどうぞ?」
常に戦闘態勢で臨む私とは違い、表面上はにこやかだけれど怜悧さが見え隠れする恐ろしさを孕んでいる。
「……じゃあ、聞くわ」
「いいよ?」
“東条社長のブレーン”と囁かれるのも納得の顔を初めて見て、その鋭い視線を恐ろしく感じた。