ためらうよりも、早く。


「正直、意外だった」と苦笑混じりに言う男に、ブチッと頭の中で何かが切れる音がした。



「は?意外ですって?よく言ったものね。
昔からそう。結局アンタは、自分さえ良ければ他人のことはドウデモイイのよ。違う?無反応は肯定と捉えるからね。
尭を焚きつけたこともそうよ。結果的に、あのふたりが付き合うきっかけにはなったわ。
でもね、表面上は取り繕っても、そこかしこにしこりが残っているのよ。それに気づいてる?知らなかった?あ、否定は認めないから。
大体、ずっと一緒にいたのに……、尭が誰を見て、誰を一番に守っていたか、何も気づかなかったなんて言わせないわよ。
アンタの所業は運良く良い方に働いたに過ぎないわ。大事なのんを欲に負けて呆気なく組み敷いたコト、姉の私が怒っていなかったとでも思うわけ?」

これまで溜め込んできた怒りを矢継ぎ早に発する今の私は、本当に容赦ないだろう。ヤツの傷口には塩が塗り込まれているに違いない。


なお、そんな男は時おり反応を見せるものの、その都度ぶった切られるため口を閉ざしているようだ。


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