ためらうよりも、早く。
というより、延々と続く辛辣な物言いに気圧された結果、今は呆気に取られているといった方が正しい。
「ああ、まだ言い足りない。釈明の余地もないでしょ、そうよね当然よね。普通に考えてみて。
アンタは姉妹を味見するように両方とも美味しく頂いた最低男なの。“都合よく”ね!
年下なのに、のんの方が遥かに大人な対応をしてるわ。というか、ふたりとも優しいのよ。ほんと甘い甘い!
あ、尭は可愛げがなくても良い男だから、自分と同類項にしないでよ?あ、出来るわけないわよね。
周囲を一時の迷いで振り回したクセに格好つけて、なぁにが“のんが幸せなら良いよ”だ?……ざけんな。
口以上に下半身が不埒な男に、そんな台詞言う資格あったの?
ああもう!何で私、あの時に一発殴らなかったのかしら。寛大過ぎた当時の自分を呪いたいわ。
分かってる。人のこと言えた義理じゃないって思っているんでしょ?それを踏まえた上よ?
これでも私、最近までは男関係でトラブル起こさなかったの。でも、後味の悪い別れ方をさせて心の底から反省中。
無自覚ほど人を傷つけるものはない、と知っていた筈なのに。極上の男をひどく傷つけた……アンタと同類にすべきは私ね。
だからこそ、この機会にぬるま湯にどっぷり浸かってる男を本気で怒らなきゃと思ったの。——さて、これくらいでどう?」
ふぅ、と捲し立てたおかげで上がった息を整える。せっかちの早口でも、さすがに疲れるわ。
再び視線を合わせると、恨みつらみを一身に受けてダメージを負ったらしい相手が重い口を開く。
「……俺の評価って、もしかしなくても最悪?」
「贅沢ね。これまでの愚行からして、最悪の評価が貰えただけでも感謝したらどう?
けれど……今日限り、もう何も言わない。小言も控えるから」