ためらうよりも、早く。


「イきやすい身体って男からすると楽よねぇ。その分、手抜き具合はよく分かるから便利よ。
補足すると、アノ日はストレス・フルで高ぶってた分は査定から差し引きしたわ」



「俺は手抜きしてまで抱かない。伝わらなかった?」


ソッチの話で優雅に牽制し合うくらい朝飯前。これも昔馴染みだから出来ることだろう。



“今までのどんなセックスよりも、愛しい時間だった”

もしも、こんな本音を口にしてしまっても、目の前の男はその唇でまた私を宥めるに違いない。


——それくらい親密なのに縁遠い関係を、ゆるゆる続けてきたのだから。



「……聞く時点でアンタの負けよ」

うそ、私の大敗だ。胸にしまった言葉は、この先もう伝えることはナイ。



「柚ちゃんに負け通しなのに?」

こちらの感情など知る由もない相手から、期待通りの軽い口調が返ってきた。


「当然よ」と、口角を引き上げて、意地の悪さを見せつける。


そこでようやく、お互いが自然な笑みを零すことが出来た。


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