ためらうよりも、早く。


ただ、やっぱり泣きそうな顔をしている彼女。幸せ真っ只中なのに、自業自得な姉のことでもう苦しまないで欲しい。


この間はツマラナイことをバラしてしまった私が明るく振る舞うのは、贖罪にも似た感情のせいだろうか。



「自由に生きるのは変わらないけれど、私もとうとう年貢を納める時が来たみたい。
迷うより進んだ方が良いことの方が多いし、……幸せなんて人それぞれ感じ方も違うしね。
あ、もちろんパパは大喜びよ?これで肩の荷が下りる、なんて言われちゃったし。
そうそう私、見合い相手の写真や釣書なんかイラナイって言っておいたの。
“経歴やらで無駄な知識を得て先入観を持つよりも、大事なのは相手の人となり。
結婚に夢も持っていないし、後追いの感情もありね。だからパパ、婿選びの手腕に期待してるわよ”ってね。
ということで、相手と実際に会う時にはもう結婚の具体的な取り決めね。すこぶる早いでしょ?
でも、日取りや式場、招待客の選定に新居を決めたりとか、する事って次々あるみたいで大変なのね。お呼ばればかりで大変さも知らなかったわー。
それで昨日の夜は、慌てて既婚者の友達にあれこれ指南して貰ったの。なにその結婚!って驚かれたわ。
でも、知らないことを学ぶ良い機会になってるわ。何事も経験ね。……と、ざっくりこんな感じかしら」


ツラツラと滑舌よく話すクセはやっぱり今後も武器になる。そんな確信がみっともない女を奮い立たせているらしい。


ふふっと笑ってみせると、ポカンと口を開けながら唖然とする妹。その表情は、まるで精気を取られたかのようだ。


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