ためらうよりも、早く。


苛立った声を前に、コーヒーカップをソーサーへ置き、「のん」と呼んで視線を合わせる。


私を真っ直ぐに見つめる瞳から感じ取れるのは、身勝手な態度に対しての怒りと失望だ。



「いい?私のことで苛立つ必要なんて何処にもないわ。
——すべて片がついた話なの。過ぎたことだから。
精神的に不安定だと身体に障るわ。大事な大事な子たちに何かあったらどうするの。……お願いだから。
何よりね、尭の怒りは末代まで続くのよ?……あの執念深さは、のんが一番分かってるでしょうが。
まあ、予想ではセックスに性格がよーく現れてると思うけれど。どうかしら?」


ここでヤブヘビだったと気づいたのか、めらめらと燃え盛っていた怒りの炎も沈静化した模様。


「し、知らないもんっ!」

朝には似つかわしくない、“はしたない”話は彼女の不得手。


不満を露わに頬を膨らませているが、その顔は赤くなっていた。……暗に、図星だと告げて。


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