ためらうよりも、早く。


幼馴染みだった尭もまた不遇の時代を乗り越えた人間。今となっては幼馴染みというより、同士に近いものがある。


「のんは?」

「またアホなヘマしたんで、銀座店のヘルプに行かせました」

「体調大丈夫なの?」


「銀座店の集計ですし、社内でも基本座り仕事にシフトさせてますよ。まあ銀座店の店長も俺の同期なんで心配ないかと。
本人はまだつわりもないから大丈夫だと言ってますが、予定は未定ですし。ギネス級のドジへの安全策は講じてます」

「抜かりないわね」

「それなりに」と返されたので笑ったものの、内心やはり尭の采配はいつでも完璧だと感心していた。



経営メインの現在、現場の一線で活躍する彼を頼りにしているのは事実。……特に、ドジな妹を彼の部署に半ば強引に配属したのは大正解だった。


実際、のんの問題は私たちの失態と捉えられる。その場合、謝罪と笑顔で一蹴させるのもワケないが、彼女のサポートまではしてあげられない。


風当たりの強い社内において、あの子を援護する者はいないと経験上から分かっていた。


いずれひどい失敗をした時、職場では腫れ物に触るような存在になると予想がついていたため、実力で地位を得る途中だった尭に委ねたのだ。


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