ためらうよりも、早く。
ちなみに、のんは来月末に会社を退職することになった。
当社は女性の多い職場ゆえに育休制度も充実している。
希望があれば残業ゼロの職場に異動出来るし、短時間勤務は可能。また、社内には保育ルームもあるので時間外に預けられて、働くママさんに好評な環境ゆえ離職率も低い。
当初は職場復帰すると考えていたらしいが、最終的に2人で話し合って出した結論が幕引き。
会社でのんの明るい声が聞こえなくなるのは寂しいけれど、私や父も笑顔でその意見を了承した。
今月末までは引き継ぎのため出社し、その後は退職日まで残りの有給休暇を消費するとか。
これもヘルプも兼ねて店頭に立つことが多く、デスクワークがさほど多くない彼女が抜ける穴を埋めるのにひと月あれば十分と、上司である尭が判断してのこと。
——あの男、繁忙期とのあいだを狙ったのか……?と、義姉は邪推したくなるが。