ためらうよりも、早く。
ゆえに、裏では成績と家柄で優劣をつけて、人を見下す父親や祖父母が嫌いだ、と尭が忌ま忌ましげに言うのも無理はない。
尭の父親に会ったことはあるけれど、彼の言葉の通り。口で笑って目の奥は笑っていなかった。幼心に、この人間は信用出来ないと思った。
まして、小さな頃から付き合いのある寡黙な彼が、意を決して話してくれたことを信じるのは当然。
ただ、彼の親側からすると、息子は異端児で手が付けられないと思っていたらしい。
本来、跡継ぎである筈の長男の彼より、私たちからすると非常識な次男を溺愛したのがその証拠。
ちなみに、親に溺愛された道楽息子の次男とは一切の交流はない。尭いわく兄弟仲は最悪らしいので、私たちも今後も関わらないつもりだ。
そんな家庭事情も相俟って、中高時代の反抗期指数が平均より高かったのだとつくづく思う。
大学進学の際に高級マンションを与えられ、半ば追い出されるように実家を出た時は心配したが、その頃にはすっかり刺刺しさは抜けていた。
卒業後は完全に自活すると公言していたところに私が入社の誘いをかけ、今日に至るという訳だ。