ためらうよりも、早く。
両手で顔を覆ったのは、みっともない泣き顔なんか見せたくないという最後の意地だ。
何で私が泣かなきゃいけないのよ。——あのまま、さよならで済ませて欲しかったのに。
『やっぱ昔馴染みが良かったな。……今さらでごめん』
まるでヤリ捨ての如く、別れを告げた祐史の表情は、何となく今日と同じ顔だった。
「ええ、そうね」と、淡々とした声でそれを受け入れたのち、家で号泣したくせに。
昔の件がトラウマとして重なってしまう。そんな畏怖を抱く自分をこの際、嘲笑いたくて仕方ないのに。
溢れ出るのは枯れた筈のみっともない涙。——こんなの、男と対等に渡り歩いて来た私じゃない。
はらり、はらり、と瞳から溢れていく涙を受け入れられるほど、昨日の今日で立ち直れるわけもなかった。