ためらうよりも、早く。
沈黙が続く限り、続くのは無意味な平行線。
さて、この場合、どう処理するのが正しいのか?
いつもは不経済に感じられる思案の時間が、私を通常の思考力へと引き戻してくれた。
「……疲れるわ」と、本音を遠慮なしに漏らしながら。
ここでようやく、私から顔を逸らした風船男が正面を向く。刹那、ふぅと大袈裟な嘆息が耳に届いた。
ジッと嫌味たらしく見届ける私をよそに、なんと腕組みをした直後に目を閉じてしまった。
置き去り、そんな言葉が浮かぶ。……そういえばこの男、都合が悪くなると黙りこくるクセがあったのをいま思い出した。ちっ、私としたことがしくじった!
ヤツが優しいことは確かだ。このところ何度も認めざるを得ない状況にあったし、ただメンドウなので素直に言い切るわ。
しかし、今回はその武器が仇となった。
つまり、中途半端に親切心を我慢した結果、格好がつかずにいるのが今であると。……なるほどね。そうでなければ、この状況が説明つかないでしょう?
「ほんと卑怯ね」