ためらうよりも、早く。
今でも、遠慮が遠慮を呼ぶ関係でありながら、別れの前進を躊躇して佇んでいるだけ。
以前のような気安い仲を望んでも、2度も起こした“間違い”の代償は大きいと痛感する。
昔馴染みらしく、男女の垣根を越えた友情だけを育んでいけば良かったのに。一体どこで道を逸れたのだろうか?
そんなはしたなさを引き摺っていては到底、結婚後も正常な位置関係には戻れない。——互いのために離れるべきだ。
定説通りに、すべて時間が解決するのだとすれば。この心が落ち着く頃には、幾つ歳を重ねているのかしら……?
“いつか”を待つのも一興か、と無理やり脳内処理を終えかけたその刹那。
これまで沈黙を守ってきた目の前の男がこちらに視線を寄越し、薄く口を開いた。
「——やめるわ」と、確かな意思と強さが感じられるその瞳で、ただひと言そう紡いだ。