ためらうよりも、早く。
それはかつて味わったことのない衝撃をもって、丸腰の私を容赦ナシに打ちのめした。
まさに、弱り目に祟り目。意外なことに、人間ショック過ぎると泣けないようだ。
曇天の雲の切れ間から差したひと筋の光に期待したところで、突如襲った積乱雲。一気に空の色を黒に染め変え、大粒のスコールと雷をもたらした。……これは言い得て妙、そう思うわ。
——こうなれば、もう揶揄されても良い。開き直った30手前の女は野次なんか気にしないのよ。
ああ、コイツ以外には非情になれるのに、どうしてみっともない女をさらしているのかしら?
ここまで追い縋るタイプとは夢にも思わなかった。本当に、自分の鬱陶しさには反吐が出るわ。
どうしようもないほど愛しいヤツとは、どこまでも相容れない。あの頃の祐史の判断は正しかったのだ。
結局うだうだと惜別するのは後にして、さっさと別の男の籍に入るなり、自ら路線変更すべきだったのか……。
俯いたままいる私の頬に、むにっと人差し指が埋まる。おもむろに顔を上げれば、宥めるような眼差しを寄越す男を一瞥し、大きく嘆息した。