ためらうよりも、早く。
そんな自らの子どもじみた反応に溜め息を吐き出して反省しているというのに、尭といえば一切気遣うことなく話し始めた。
「祐史さんから昨日、“連絡待ってるって“俺に電話が来たんですよね。
——柚希さんとヤってから避けられてるって、悲しそうに嘆いてましたよ?」
「……あら、風船男の勘違いじゃない?」
“祐史”の名前が出た途端、眉根を寄せてしまったことには横顔からでも気づかれただろう。
平静を装って自嘲笑いを浮かべてみても、微かに震えた声音までは隠しようもない。
すると尭はこれまで秘密基地のように占拠していたテーブルを降りて、颯爽と立ち上がった。
行動に目配せしながらも直視出来ずにいると、窺うように屈んだ彼が私の肩をポンポンと優しく叩いた。
「……なによ」
「さっきのは直接、向こうに言って下さい。柚希さんには悪いけど、俺はアッチの味方なんで。
あの人には借りが幾つもあるから無碍に出来ないし。何より、“あの祐史さん”が俺を介するなんて、相当焦ってる証拠だと思いません?」