ためらうよりも、早く。
もう一度、嫌な宣告を受けるのか。そう考えるだけで心は一層どす黒さを増していく。
すると拘束が解かれ、私はそのまま両肩を押されるようにしてソファに腰を下ろしていた。
当然のように隣に座ると思っていたが、何故か風船男は私に背を向けてしまう。
ゆったりした足取りで向かった先は、どうしてかPCが開いたままのデスク。そこの端に浅く腰を下ろした。
長い足を組む姿は、いつかのデジャヴ。——はしたない仲間がここにもいるのか、と。
「で?一体」
「——むかしむかし」
唐突なひと言に、「は?」と間の抜けた声を出してしまった。
風船男の冴えた頭をもってしても、結婚というお花畑には侵略されたのかしら……?
もしくは、間もなく日付も変わる現在、疲れてきっていたのか。もちろん後者を理由にして貰いたいところだが。
腕を組んだ当の本人は俯き加減でいるため、こちらが怪訝な顔つきであることにも気づいていない。