ためらうよりも、早く。
口の減らない若造や、生意気な小娘など、思いつく限りの罵詈雑言を面と向かって言われてきたが、その度に笑顔で頭を下げ、決して言い返さなかった。
どうしてって?そんなの簡単。——相手にするような人間ではないもの。
相手にしなければ苛立たない。おじさんも色々と大変ね、と心の中で不憫に感じていたから。
結局、彼の怒りをかった者は見限られ、残ったのはただのご機嫌窺いをする人ばかり。
常務時代に築いた影響力と未だ息のかかった部分もあるとはいえ、時間が経つごとに薄れている。
まさに裸の王様。持て囃されることに慣れきって、あごで使う人間から人が去っていくのも当然だろう。
そんな状況が気に入らないようで、今も会議では私のやることなすことにケチをつけたがるのだ。
ただ悪いけれど。そんな過去の栄光にすがるようなオヤジに負けるほど私は弱くない。
とはいえ、水橋さんのエールを受けた私は今日も彼を論破し、そのうえ予算アップまでこぎつけたのだから、隠居オヤジのお陰で有意義な会議になったのも事実。
——反骨心とその場を乗り切るタフな精神が備わったのも、そんな議場のお陰ね。