ためらうよりも、早く。
私とあの男がほんの一瞬、付き合っていたように。2年ほど前、祐史がのんに本気になったこともある。
それがまた、のんをずっと好きだった尭を焚きつける。その結果、ひとつのカップルを順調に結婚へと導いていった。
普通ならば、事件が起こるごとに気まずくなって、自然と疎遠になっていくだろう。
それなのに、誰ひとり欠けずに昔馴染みの縁が続いたのは多分、風船男の人となりが一番大きかったと思う。
“別に幼馴染み止める必要ないでしょ?”
一笑に付すような能天気さを前にして、私たちはもう小さな問題に悩むのがアホらしく感じた。
もちろん各々が過去について恨んでいない、と言ったら嘘になる。
でも、それを内々に消化してしまえるくらいには、不安定な関係を大切に思い、長く保ちたかったのだ。
――私があんなヤツ、と罵倒しきれずにきたのもそれが起因しているのだろう。
濃厚なキスと欲情任せのセックスに興じているのが一番楽だと学んだのは、2人目に出来た彼氏と身体を重ねてからのこと。
それをきっかけに、性に奔放とか自由に生きているとか男に貪欲とか、男女問わず視線と噂の対象になっていく。
努力の意味を履き違えて色気を備えた私が、周囲にセクシャルなイメージを植えつけるには半年もあれば十分だった。