手の届かないキミと
「よしっ!俺、いいこと思いついた!」
そう言うが早いが、西村くんが自分のイスの上に立って教室を見渡した。
クラスみんなの視線が集まったところで、西村くんはコホンとひとつ咳払いをしてから、声を張り上げた。
「えーえー、もうすぐ夏休みってことで、クラスのみんなで海へ行こう大作戦を思いついたわけですが、みなさんどうでしょ?!」
選挙とかで政治家の方のするあいさつを真似たみたいだけど……なんだか違う気がするよ、西村くん。
でも彼はそんなのお構いなしに、持ち前の明るさで笑顔を絶やさない。