恋のカルテ
「はい、これタオル。風呂の中のものは好きに使っていいからな」
「ありがとうございます。……あ、でも。先生より先に使わせてもらっていいんですか?」
遠慮がちに聞くと、先生はニヤリと笑って答える。
「なら一緒に入ろうか」
先生はそういいながらシャツのボタンに手を掛けるので、私は慌ててそれを止めた。
「け、結構です!」
「言うと思った。残念だけどオレは高原が風呂に入ってる間、何か食うもの買ってくるつもり。だから、どうぞごゆっくり」
ぱたんと閉められたドア。
先生の足音が遠ざかっていくのを確認した私は、体に巻きつけるようにしていたワンピースを丁寧に畳んで脱衣カゴの中に置いた。
それからストッキングとショーツを脱ぐ。
そして私は鏡に映った自分の顔を恐る恐る見た。
赤っぽく腫れてはいるが、思ったほどではなかった。気にしなければ痛みも感じない程度。
でも、心はしくしくと痛んだ。
せめてフラれた理由がわかったら気持ちの落とし所もあるだろうに。まるで真っ暗闇の中に突き落とされたみたいだ。
どこへ向かったらここから抜け出せるのだろう。
「わかんないや」
私はひとり呟くと、熱いシャワーを浴びた。