恋のカルテ

「……頑張れよ。だって」

先生がちゃんと優しい。あの約束通り、私のことを“恋人”として扱ってくれているのだろう。

悪くない、かもしれない。こういう支えはありがたい。

今日のオリエンテーションからはその研修内容が、より実践に近いものなってくる。全て終われば内科での研修が半年。内科とひと言にいっても、心臓の病気を専門に扱う循環器や、胃や腸の病気を診る消化器、それから血液内科や腎臓内科などとても幅が広いのだ。

半年で全てを学べるなんて思っていないけど、できるだけたくさんの症例を見てみたいと思っている。

だから失恋の痛手は早く癒してしまいたい。……できるなら、今すぐにでも。

「でも、そんなのはムリだよね」

私は先生に奢ってもらったココアを飲み干すと、席を立った。

そして自分のロッカーにお弁当の袋をしまうと、マスクをつける。頬の腫れはファンデーションで隠れる程度にはなってきていた。でも、念のためだ。

例えば森くんとか、見てみぬふりをできないタイプだし、きっと根掘り葉掘り聞いてくると思うから。

「よし。これで大丈夫」

私は資料の入ったバックを手にロッカーを出ると、講義が行われる部屋へと向かった。

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