恋のカルテ
その日の昼過ぎ。講義の合間の休憩時間に森くんがボソリと呟いた。
「今日はやけにヘリの音が耳につくよね」
いわれてみればそうだった。救急車のサイレンの音もいつもより多い。ついさっきも聞こえたばかりだったし。
「確かにそうだよね、なにかあったのかな?」
そう言うや否や、森くんはスマホを取り出して検索を始めると「多分これだね」とその画面を向けた。
そこには国道で起きたという事故の現場が、大きく写し出されている。
重軽傷者多数。死者は書かれていない。それを見て私はよかったと安堵する。
「大きな事故だけど、亡くなった方はいないみたいだね」
「そうだね。でも今頃、救急外来は大忙しなんじゃない?」
「かもしれないね、きっと大変なんだろうな」
いいながら、佐伯先生の顔が浮かんだ。