恋のカルテ

やがて休憩時間が終わるころ、研修担当者がやって来てこういった。

「講義予定の医師が緊急オペに入られる事になりました。急遽内容の変更となり申し訳ありませんが、皆様にはDVDをご覧いただいてレポートの提出をお願いいたします」

スクリーンを降ろし始める担当者に森くんは興味津々という感じで聞く。

「すみませーん、それって例の国道の事故繋がりですか?」

「……私は詳しいことを伺っていませんので、分かりませんが……おそらく」

「あの、私たちは応援に行かなくていいんですか?」

私のなにげない言葉にその場にいる研修医全員が頷く。しかし、担当者は、何を言い出すんだ、とでも言いたげな顔で、DVDをスタートさせた。

「何かあれば指示があると思いますので、それまではこちらをご覧ください」

担当者がまるで逃げる様に退室した後、みんな思い思いのことを口にしていたが、結局今できることは目の前の課題をこなすことなんじゃないかということに落ち着いた。そうなるように導いたのは他でもない、森くんだったのだけど。

< 119 / 250 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop