恋のカルテ
「まったく、油断も隙もありゃしない。でも、お弁当は約束だから作るけど」
だって、お弁当がなかったらお昼も、もしかしたら夜も、カップラーメンや菓子パンなんかで済ませてしまいそうだから。
そんなのはよくない。視野は体が資本だと思うし。仮ではあるけど私は先生の恋人わけだし、健康管理をするという責任もあるし、女としてのプライドだってある。
それに家事もできないなんて思われたくはないから。
顔を洗って着替えると、早速キッチンに立つ。先生のキッチンにはひと通りの料理道具がそろっているからとても有難い。でもさすがに卵焼き用の四角いフライパンは見当たらなかったので、仕方なく小さいサイズのもので代用した。
私は朝食の準備をしながら同時にお弁当のおかずを作って箱に詰めていく。
「おはよう、高原。だいぶ早起きだな」
起きてきた先生はカウンター越しにキッチンを覗き込む。
「おはようございます、先生。別に早くもないですけど。朝ごはん出来ましたよ、お弁当もこの通り」
まだ蓋をしていないお弁当を見せると、先生は嬉しそうな顔をする。
「お、サンキュー」
「あとで袋に入れますね。まずは朝ごはん食べちゃいましょう」
「ああ、そうだな。オレ、並べるよ」
「お願いします」
先生はダイニングテーブルに出来上がった料理を並べてくれた。二人で手を合わせて食べる。
それからあと片づけを終えると、そろそろ家を出る時間になった。