恋のカルテ
「まあ、オレとしては高原のために今夜も家に帰ってあげたいけど、残念ながら今日は当直なの。ちなみに医者の当直表は病院のグループウエア―の中に入ってるからパソコンで見ればわかるよ」
「そうなんですか」
「そうそう。個人あてにメールも出せるから、後で高原の携帯の番号送っておいて。後アドレスも」
そうだった。昨日番号を教える約束だったのに、すっかり忘れていた。まあ、先生が私を抱きしめたりするからいけないんだけど。
「あと、これ」
差し出されたカードを反射的に受け取る。よく見るとクレジットカードだ。
「あのこれ」
「食費、結構かかるだろ。それ使って買い物して」
いいながら歩き出す先生。私はカードを返そうと先生を追いかける。
「あの、でも私だって食べるし。それに一応、今月末にはお給料もらえるはずなので食費くらいは出せます」
「いいから。それさせるのは、オレがやなの。ほら、車。さっさと乗る!」
開いた助手席のドアに押し込まれる。
運転席に乗り込んだ先生は、「使わなかったら襲うぞ」と、脅す。これも先生なりの気遣いなんだろう。うん、そう思う事にしよう。いちいち反応していたら身が持ちそうにないから。