恋のカルテ
佐伯先生からメールの返信が来たのは、夕方近くなってからだった。
研修が終わる時間が迫ってきていて、私は慌ててメールのフォルダーを開く。
するとそこには、先生の番号は私が送っておいたスマホのメールアドレスに送ったこと、飲み会は参加してもいいことが簡潔明瞭に書き綴られている。
「先生らしいな」
私は帰り際、大津さんに打ち上げに参加できることを言いにいった。
大津さんはとても喜んでくれて、「女の子が来るなら店ちゃんと選ばないとな」そう言ってくれた。とても楽しみだ。
それから私はロッカーへ向かった。バックの中に入っていたスマホを見ると佐伯先生からのメールがちゃんと届いている。それを開いて番号を電話帳に登録すると白衣を脱いで髪をほどいた。
「さて、帰ろう」
今日は少し大きめのスーパーによるつもり。そこで明日のお弁当の食材を買う。もちろん先生のカードで。
明日は少し豪華にしてあげよう。当直明けに食べる分と、お昼に食べる分。
そんなことを考えながら病院から出ると、植込みのあたりにスーツ姿の男性が二人立っている。
おそらく医者の出待ちしているMRだろう。そう思いながら何気なく顔を見た。
「……圭人」
息が、止まるかと思った。こんな時期に担当者が変わるはずなんてない。でも、場合によってはあり得ない話ではないのかもしれない。
もしそうならこれから院内で圭人と顔を合わせることになる。
「どうしよう」
気づいたら私は、圭人たちのいる方とは逆の方向に歩き出していた。