恋のカルテ

一度避けたら、避け続けなければならなくなる。

それを分かっていながら逃げ出した私は、翌朝病院に到着した時から、どこかソワソワとして落ち着気くことができない。

ロッカーで白衣に着替えると、作ったお弁当は仮眠室にいると言う先生の所に届けて研修室へと向かう。

今日はここから極力出ないようにするつもりだ。お昼のお弁当はあるし、タンブラーに飲み物も入れてきた。

取りあえず今日はそれでいい。でも、ずっとこのまま逃げ続けるのは不可能だ。それは重々承知しているが、今はまだ圭人と顔を合わせたくはないのだ。

せめてもう少し時間が経てば、「久しぶり」なんて軽く挨拶ができるんじゃないか。そう思う……多分。

こんな風にしてどうにか二日乗り切った。そんな私を見ていた森くんは、「なにかあったの?」なんて心配してくれていたけど、何でもないからとごまかした。

そして、オリエンテーションの最終日。

終了時間になると、他の研修医と連れだって、翌週からお世話になる医局に挨拶に向かった。

ちらほらとMRの姿が見えて、私は顔を伏せたまま足早に通り過ぎた。圭人がいたかどうかなんて分からない。

医局につくと、指導医の五十嵐先生は、今、病棟にいるらしいと内科部長が教えてくれた。

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