恋のカルテ
「……ん。高原。お前、もう大丈夫なのか?」
「はい、おかげさまでよくなりました。でも先生が……」
「ほんとにな、まさか熱を出すとは。こんなに酷いのは久しぶりだよ」
先生は辛そうに言いながら小さく溜息をつく。
「ところで今、何時?」
「八時です。仕事は休むようにと五十嵐先生がおっしゃってました」
「五十嵐先生が?」
「はい。私が電話できるのは事情を知っている五十嵐先生だけですので。救急科の方にも伝えてくれるそうです」
「……そうか。どうせ出てっても仕事にならないだろうし、仕方ないか」
まるで自分に言い聞かせる様に言ってから、自嘲気味に笑った。
「でも高原は? 仕事に行けたんじゃないのか」
「そうなんですけど。私は、先生が心配で……休みました」
私の言葉に先生は眉を潜める。
「オレが心配で? そんなことで仕事を休むなんて大馬鹿だ」
「そんなこと、じゃありません。先生が辛そうで放っておけなかったから。それに、その症状……私がうつしたんだと思います。だから責任を取らないと、と思って」
「責任なんて取る必要はないだろう。同じ部屋で寝起きしていたら仕方がないことだ」
「すみません」
頭を下げる私に、先生は大きく息を吐く。
良かれと思ってしたことだったのに、怒らせてしまった。