恋のカルテ

病院のロッカーで白衣に着替えて伸びた髪はひとつにまとめて結ぶ。

持たされているPHSの電源を入れると、医局のパソコンで担当患者の情報収集をした。

夜間の状態と、朝の血液データ。特に大きな変化はないようだ。

ほっと胸をなで下ろし、壁の時計に目をやると朝の回診時間まで、まだ少し時間が残っていた。

私は持って来たお弁当入りの紙袋をみつめる。

佐伯先生とお昼休みに会えるとは限らない。それなら今のうちに渡したほうがいいだろう。

私は先生のPHSを鳴らした。

しかし、いくら鳴らしても電話に出る気配はなく、呼び出し音が鳴り続けるだけ。

「……出ない」

でも、院内に入るはずだ。朝、職員駐車場に先生の車があるのを確認している。

それならどうして出ないのだろう。仕事中なら絶対に電話に出るはずだ。手が離せない時は、代わりにスタッフが出てくれるし。

もしかしたら仮眠中かもしれない。当直でもないのに泊まり込んで仕事をするなんてよくあることだ。

私は紙袋を手に持つと、仮眠室へと向かった。

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