恋のカルテ

 土曜の夕方、ナースステーションでパソコンに向かっていると、看護師との話を終えた五十嵐先生がやって来て言った。

「高原君、今夜うちにこないか?」

「五十嵐先生のお宅にですか?」

「ああ。家内がまた君たちと食事がしたいしたいと言いだしたんだよ。もしよかったらどうだい?」

嬉しい誘いだった。

しかし、今日の七時から圭人と約束した会食の予定が入っている。

先生の誘いを断るのは気が引けたが、こればかりは仕方がない。

「……申し訳ありません、今日は予定が入っていまして」

「そうか、それなら仕方がない。また誘ってもいいかな?」

「はい。もちろんです」

私が深々と頭を下げると五十嵐先生は「佐伯だけじゃ、華がなくて困る」と笑った。

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