恋のカルテ
目に飛び込んできたのは、隣り合わせで敷かれた二組の布団。
これが何を意味しているか、言われなくても分かる。
「……圭人」
圭人の腕にすがった。でも振り払われてしまう。
「加恋。君は、僕を支えてくれるっていったよね」
「言ったよ、言ったけど……」
溢れだした涙で、圭人の顔が醜く歪んで見えた。
「園部医院長。新薬の採用、よろしくお願いしますね」
「もちろんだよ、矢野君」
最初から仕組まれたことだった。
私はこの男に抱かれるためにここに連れてこられた。
逃げようと思えば逃げることが出来たのに、絶望にとらわれて身動きすらできない。
「では。失礼いたします」
頭を下げた圭人は、私を見ることもなく座敷を出て行こうとした。しかし、なぜかその足を止める。