恋のカルテ

走り出した車は、病院の前の道から国道へ出る。すると朝のような渋滞もなく比較的スムーズに車は流れていた。

先生あえて何も話さないといった様子でカーステレオの音量を上げる。私にはそれがとてもありがたかった。

それから十分ほど走っただろうか、先生は大きな高層マンションの地下駐車場に車を停車させる。

この辺りは私の住んでいる所からさほど遠くなく、芸能人も多く住むという人気のエリアと聞いていた。

「着いたぞ」

先生は車のエンジンを停止させると助手席側に回り、ドアを開ける。

「降りるよ。その大きいカバン、オレが持つからかして」

先生は私のボストンバックを持ち上げて肩にかけると「ほら」と手を出した。そこにはいつもの強引さが感じられなかった。だから戸惑ってしまった。

こんなふうに優しくされたらこれ以上先生を責められなくなってしまう。

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