恋のカルテ
期待を込めて覗いてみたけれど、圭人からの着信はない。
これが現実なんだと小さなため息を吐く。
「電話?」
「……あ、いえ」
どこからか戻ってきた先生の手には、箱のようなものが握られている。
「家庭用の救急セットがあったなと思ったけど、これじゃあ何もできない。やっぱ処置室に連れてくんだったか……、取りあえず、傷みせて」
私の隣に座ると、救急セットの中から取り出した手袋をはめた。
「痛かったらいえよ」
先生は指先でそっと頬に触れ、腫れの程度を確かめる。
「軽い打撲か……じゃあ、次。口をあけてごらん」
「……はい」